EU圏の海外FX業者がレバレッジ規制!?ESMA(欧州証券市場監督局)の決定を受けた今後の洞察。
2018年6月1日、ESMA(欧州証券市場監督局)から衝撃的なプレスリリースが配信されました。
プレスリリースの内容はいくつかありましたが、その中でもとりわけ驚愕だったのが『レバレッジ倍率』の制限。
要するに”レバレッジ規制“です。
すでに国内FXでもレバレッジ規制が実施されているので、2011年以前から国内FXに親しんでいたトレーダーにとっては恐れ慄くニュースであることは間違いないでしょう。
「せっかく国内FXから海外FXに移行したのにもうハイレバトレードはできないの?」
「今後ハイレバトレードをするならどうすれば良いの?」
本記事ではこのような疑問にお答えすべく、ESMAのプレスリリース内容をまとめ、今後の海外FX利用の動向についてまとめました。
海外FXのレバレッジ規制のニュースを聞きつけ、不安を感じている方は一読してください。
目次
そもそもESMA(欧州証券市場監督局)ってなに?
今回の騒動の発端であるプレスリリースを配信したESMA(欧州証券市場監督局)。
「そもそもESMAってなんぞや?」とお思いの方も多いと思います。
ESMAを端的に言うと”EUの金融庁“のようなもの。
日本の金融庁にあたるものが、EUのESMAなわけです。
ESMA is an independent EU Authority that contributes to safeguarding the stability of the European Union’s financial system by enhancing the protection of investors and promoting stable and orderly financial markets.
(訳)ESMAは、投資家の保護を強化し、安定した秩序のある金融市場を促進することによって、EUの金融システムの安定性を保護する独立EU加盟機関です。
(引用:ESMA公式HP)
日本の金融庁が国内FXのレバレッジ規制に乗り出したように、EUの金融を司るESMAが今後の海外FX業者の改革に関するプレスリリースを発表するのは当然のことです。
ESMAがFXやCFDに関する規制に踏み切った理由
今回ESMAが大幅な規制に踏み切った理由について、Steven Majior議長の発言がプレスリリース内に掲載されていました。
“The measures ESMA has taken today are a significant step towards greater investor protection in the EU. The new measures on CFDs will, for the first time, ensure that investors cannot lose more money than they put in, restrict the use of leverage and incentives, and provide understandable risk warnings for investors.
“ESMA’s prohibition on the marketing, distribution or sale of binary options to retail investors addresses the significant investor protection concerns caused by the characteristics of this product.
“This pan-EU approach is the most appropriate way to address this major investor protection issue. NCAs will monitor the impact of these measures during their application and will assess, with ESMA, what next steps are required.”
(引用:ESMA adopts final product intervention measures on CFDs and binary options.)
英語でごちゃごちゃと書かれていますが、一言で言うと『EUの投資家保護のため』とのことです。
なにか日本のレバレッジ規制のときにも見たような言い分ですね。
ただし詳しくは後述しますが、日本の単純なレバレッジ引き下げとは異なり、“ゼロカットを義務付けている”ことは賞賛に値します。
ESMAのプレスリリースで発表されたEU圏内の海外FX業者の規制内容
今回のESMAのプレスリリースに関して変更点があったのは、
- CFD(海外FXも含む)
- バイナリーオプション
この2つについてです。
特にCFDに関しては割と細かい変更点があるので注意しましょう。
CFD(海外FX含む)に関する5つの変更点
2018年8月1日より、CFD(差金決済取引)の大幅な制限が行われます。
1.レバレッジの制限
レバレッジは各種商品のボラティリティ(価格変動の激しさを表す値)に応じて、最大30倍から最小2倍まで引き下げられます。
詳細は以下。
商品 | 最大レバレッジ |
---|---|
メジャー通貨ペア | 30倍 |
マイナー通貨ペア・メジャー株価指数・金 | 20倍 |
金以外の商品CFD・マイナー株価指数 | 10倍 |
個別株価指数 | 5倍 |
仮想通貨 | 2倍 |
見ての通り国内FXの最大25倍と遜色ないレベルまで引き下げられてしまいます。
2.ロスカット水準の統一
海外FX業者がトレーダーのポジションを強制クローズしなければならない場合(強制ロスカット)の必要マージン率が最小50%に統一されます。
要するにロスカット水準が一律で証拠金維持率50%以上になるということ。
今まで海外FX業者では20~30%くらいのロスカット水準が一般的だったことを考えると、かなり辛くなります。
ロスカットレベルが上がってしまうと、
- エントリー枚数を減らす
- 口座への入金額を増やす
のどちらかで証拠金維持率を上げて調整しないと、強制ロスカットされやすくなってしまいます。
レバレッジ制限と合わせると、少額投資トレーダーにはかなり厳しい変更と言えるでしょう。
3.ゼロカットシステムの義務化
プレスリリースでは3番目の変更点として「口座ごとのマイナスバランス保護。全体的な小売顧客の損失に対する保証限度」と記載されています。
つまり”ゼロカットシステムの義務化“です。
今までも一部の優良業者では導入されていたゼロカットですが、今回の規制によりEU圏内の海外FX業者はすべてゼロカットを導入しなければならなくなりました。
ゼロカットが義務付けられることで、”顧客の損失は投資金まで。追証請求は一切なし“というリスクが限定された環境で取引できるようになります。
この改正に関しては”流石に国内とは違うな”と感心しました。
顧客の安全を考えてレバレッジ倍率を引き下げたり、ロスカットレベルを上げても、追証は発生してしまいますからね。
事実、スイスフランショックで国内だけでも約34億の追証が発生しています。
(参考:一般社団法人 金融先物取引業協会『モニタリング関連資料』)
表面的な措置ではなく、本質的なところで改善を図るのは海外FX業者を多数監督してきたESMAだからこそでしょう。
日本の金融庁にも早くゼロカットの義務化をしてもらいたいものです。
4.ボーナスやリベートの制限
EU圏の海外FX業者ではボーナスやリベートも制限の対象に…。
まだ具体的にどこまで制限されるのかまで確定していませんが、100%入金ボーナスなど明らかに”豪華すぎるボーナス”は規制されることが予想されます。
今後は自己資金だけで戦わなければなるかもしれません。
5.顧客の損失リスクについての警告を標準化
各海外FX業者の公式HPで『 FXおよびCFD商品取引には投資元金を失う非常に高いリスクが伴います。』という文言を見たことがあるかと思います。
今後EU圏の海外FX業者はこのリスク警告が義務付けられ、さらにどれだけの損失リスクがあるのか具体的に表記しなければなりません。
バイナリーオプションは全面禁止
2018年7月2日より、EU経済圏においてバイナリーオプションが全面禁止となりました。
一時期日本でも大ブームを巻き起こし、悪質な詐欺業者による詐欺も横行していたバイナリーオプション(BO)。
(参考:独立行政法人 国民生活センター)
実はバイナリーオプションによる被害は日本だけでなく、EU圏内でも広がっていました。
フランスでは、フランス金融市場規制当局のAMFが認可を受けていない69社のバイナリーオプションウェブサイトのリストをプレスリリースで配信したほどです。
(参考:フランス当局、69社バイナリーオプションウェブサイトに警鐘:9社新規追加、4社解除)
この措置により、EU圏内のバイナリーオプションを専門にしていた業者は”実質的な廃業”を迎えたことになります。
もしEU圏内のバイナリーオプション業者を利用していた方は、今後利用することができないので注意しましょう。
(もちろんEU圏内の海外FX業者でバイナリーオプションを提供していた業者も、バイナリーオプションの提供はNGです)
ESMAの規制による海外FX業者の今後
ここまでESMAのプレスリリースに関する内容をまとめてきましたが、結局の所皆さんが気になるのは、
「今使ってる海外FX業者はどうなるの?」
「これから海外FX業者で口座開設する場合はどこにすれば良いの?」
というところでしょう。
結論からわかりやすく言うと、以下の通りです。
- EU圏外の海外FX業者→規制を受けないので何も問題なし
- EU圏内の海外FX業者→規制を受けるので避けたほうが良い
今回のESMAの規制が適用されるのは、あくまでも”EU圏内の海外FX業者”です。
ここでいうEU圏内とは、EUに属する国に所在地があったり、ライセンス認可を受けている海外FX業者と捉えてください。
それ以外であれば何も今回の規制は関係ないので安心してください。
※当サイトで紹介している海外FX業者はほとんどがEU圏外なので、規制の影響は受けていません。
EU圏外で規制を受けない海外FX業者一覧
以下の業者は今回のESMAの規制を受けないので、引き続きそのまま利用したり、新規で口座開設してもOKです。
XM(XMTrading)
XMは日本人顧客の口座をEU圏内のキプロス法人から、EU圏外のセーシャル法人に移しています。
そのため今回の規制は適用されず、従来どおりのスペックで取引できます。
(最大レバ888倍・追証なし・ロスカット水準20%・入金ボーナスあり)
関連記事:XM(エックスエム)の評判・追証・特徴
TitanFX
TitanFXはニュージーランドに所在地とし、FSPRのライセンス認可を受けています。
EU圏外なのでESMAの規制の影響は受けません。
(最大レバ500倍・追証なし・ロスカット水準20%)
iFOREX
iFOREXは英領バージン諸島のライセンス(BVIFSC)認可のもと運営されています。
こちらもEU圏外の扱いとなるため、今回の規制は適用されることはありません。
(最大レバ400倍・追証なし・ロスカット水準0%・入金ボーナスあり)
※iFOREXはCySEC(キプロス)のライセンスも保持していますが、日本人トレーダーは英領バージン領の管轄です。
Axiory
Axioryはベリーズライセンス(IFSC)のライセンス認可を受けており、EU圏外の業者です。
規制の影響を受けることなく、従来のスペックで取引できます。
(最大レバ400倍・追証なし・ロスカット水準20%)
※Axioryはこうした規制を避けるため、初めから規制の強いライセンスを取得していなかったそうですが、ここにきて本当に役立ちましたね。
LANDFX
LANDFXはTitanFXと同じくFSPR(ニュージーランド)のライセンス認可のもと運営されています。
今回の規制は全く関係ないので変更点はありません。
(最大レバレッジ500倍・追証なし・ロスカット水準20%・入金ボーナスあり)
HotForex
HotForexも規制対象となるキプロス法人がありますが、XMと同じく日本人顧客はセントビンセント・グレナディーンの法人で管理されています。
セントビンセント・グレナディーン法人はEU圏外になるので、ESMAの規制は受けません。
今までどおりのスペックで取引できます。
(最大レバ200~1,000倍・追証なし・ロスカット水準10~20%・ボーナスあり)
EU圏内で規制を受けてしまう海外FX業者一覧
以下の業者ではすでにESMAの規制を受けている業者です。
ハイレバトレードをしたいのであれば避けましょう。
(すでに利用していたのであれば、業者替えをオススメします)
FXPro
FXProはFCA(イギリス)やCySEC(キプロス)など、もろにEU圏に属するライセンス認可のもと活動しており、ESMAの規制を受けています。
規制を受けたFXProのレバレッジが以下。
商品 | 最大レバレッジ |
---|---|
Forex Majors | 30倍 |
Forex Minors | 20倍 |
Gold,Gold oz & Gold gr | 20倍 |
Spot Index Major | 20倍 |
Indices Futures | 20倍 |
Silver | 10倍 |
Commods Futures | 10倍 |
Energy Futures | 10倍 |
Energy Spot | 10倍 |
Spot Index Minor | 10倍 |
US,UK,French & German Shares | 5倍 |
またレバレッジ制限に加えて、ロスカット水準も一律証拠金維持率50%以下に引き上げられました。
元々は最大レバレッジ500倍、ロスカット水準30%以下だっただけにかなり辛めのスペックになっています。
(※)追記
規制の影響を受けていたFXProですがFCB(ドバイ)のライセンスを取得し、ドバイ法人でも口座開設できるようになりました。
ドバイ法人はEU圏外のためESMAの規制対象外。
規制を受ける前のFXProのスペックで取引できます。
関連記事:FxProの評判・追証・特徴
IronFX
あまり紹介したくはありませんが、ForexPeaceArmyにSCAM(詐欺)認定を受けているIronFXもESMAの規制を受けています。
2018年7月30日より、
- レバレッジ倍率を最大30倍まで引き下げ
- 全口座のロスカットレベルを証拠金維持率50%以下に設定
- ボーナスキャンペーンの廃止
といった変更を行いました。
ただしこれらはIronFXのイギリス口座の話。
IronFXはバミューダ法人もあるので、そちらで口座開設すれば以前通り最大レバレッジ500倍で取引できます。
しかし管理人はそもそもIronFXで口座開設するのはオススメしていません。
なぜこれほど毛嫌いしているのかは『※注意※IronFX(アイアンFX)が日本で再びFXブローカー業務を行う件について』を一読ください。
今後海外FX業者を選ぶ上でライセンスを基準にするのが難しくなる
今回のESMAの海外FX業者の規制は、日本人トレーダーにとってそこまで影響がなかったのは確かです。
しかし、今後“信頼性を元に業者選びをする”のが難しくなったのは間違いありません。
というのも今まで信頼性が高いとされていたFCA(イギリス)・CySEC(キプロス)といったライセンスは、すべてEU圏内。
ESMAの規制をモロに受けてしまいます。
なので今後私たちが業者選びする際は、
- ライセンスの信頼性が高いが、レバレッジ規制を受けているEU圏内の海外FX業者
- ライセンスの信頼性は低いが、ハイレバレッジトレードのできるEU圏外の海外FX業者
の2択を迫られることになります。
今後ハイレバトレードする上で業者の信頼性まで求めるのであれば、ライセンス以外の部分に注目して読み取っていくしかありません。
(ライセンスを持っているだけで一定以上の信頼を置けるというのは大前提ですが)
もし信頼できる業者の見分け方を知りたいのであれば以下の記事を参考にしてみてください。
また今回の規制によって良い影響を受けるであろうポイントもあります。
以前までEU圏内の海外FX業者で取引しており、今後もハイレバ取引したいトレーダーは十中八九EU圏外の海外FX業者に流れます。
純粋に利用客が増えれば海外FX業者も以前より利益を上げれることになりますよね。
結果として取引環境の整備やボーナスキャンペーンの充実など、我々にも良い結果が返ってくる可能性もあります。
なんにせよ今後もESMAのようなレバレッジ規制が他の海外FX業者に波及しないとも限りません。
管理人もこれらの情報には今まで以上にアンテナを張り、いち早く皆様にお届けしたいと思います。
口座名 | 最大レバレッジ | 日本語サポート | ドル/円スプレッド | 最小取引単価 |
---|---|---|---|---|
888倍 | ◎ | 1.0pips~ | 100通貨 |
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